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連珠が受ける国際化の波
筆者:河村典彦(かわむらのりひこ)日本連珠社理事、RIF副会長
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日本の連珠界は今、岐路に立たされている。1988年8月8日、連珠世界連盟(RIF:本部スウェーデン)が発足し、1989年から世界選手権が隔年で開催され、昨年で第10回を迎えるほどになった。
RIF発足当時はすべてにおいて発祥国である日本が世界のリーダーであった。しかし、残念ながら、年を追うごとに日本の地位が成績と共に低下していっている。例えば世界選手権は第5回までは4度日本人が優勝していたが、第6回(1999年)以降、一度も優勝していない。近年では7位以内に1人しか入れないという状況が続いている。今回問題となっているルール改正についても、日本の主張がなかなか認められないという問題が発生しているが、背景には日本の地位の低下があるのではないかと思われる。
今回のルール改正問題の発端は、特定の珠型(3手目までの形)において、黒も白も勝てない局面が頻発した事に端を発している。ある国の選手は、「ある局面の打ち方を覚えてしまえば相手が誰であろうと負ける事がない」とも言っている。また、現在のルールでは作戦が限られているという不満も根強い。そこで、この局面を避ける事ができ、序盤の作戦も広がる様な改正が議論されている。その背景には3つのことが絡んでいると思われる。
@ コンピューターの発達
連珠は基本的にオセロほどではないがコンピューターに向いている。打つ可能性がある場所が限られているからである。まだ人間には勝てないが、終盤の検討などに力を発揮している。また、データベース化も外国では進み、今まで打たれた局面は網羅されている。
A 国民性の違い
日本人はあまり集団で研究する習慣はないが、外国人はある新手が打たれると、その対策を皆で研究する。その結果、日本で打たれた新手も、翌週には解決されてしまっている。また、日本人はどちらかと言えば真理の追究に喜びを見出す(つまり、完全に解決しないと次のステップに進まない)が、外国人は重箱の隅をつつくような戦法は好まず、新しい局面を開拓することに喜びを感じている。そのため、現状ルールでは新しい局面をもう開拓できないという理由から、不満をあらわにしている。
B 競技人口の違い
かつて日本は黒岩涙香氏が新聞紙上(自身が出版していた萬朝報)に大々的に宣伝して連珠の大ブームを起こして以来、囲碁将棋と並ぶ人気を誇っていたが、戦後衰退していった。最近はネット上で行う人も増えてはいるが、数で言えばロシアや中国に完全に抜かれてしまっている。競技人口が多ければ当然研究も進み、今のルールに限界を感じる人も多いだろうと予測される。
実は、今回のルール改正議論は、十五道の盤を使い、黒にのみ三々、四々、長連の禁手がある基本ルールを変えるのではなく、どうやってスタートするかという開局の規定を変更するということである。外国人はより多くの局面が選択できる開局規定を望んでおり、日本人は変えないか、変えたとしても複雑になるのを嫌っている。複雑になればなるほど初心者が入り難くなってしまうというのが日本の主張である。外国人は、ゲームとして成立する(頂点を極めることにハンデがないこと)ことを優先している。高段者にとって魅力がない競技は初心者にも魅力がないというのが彼らの言い分である。
2006年、2007年と2年連続この開局規定の変更で日本は拒否権(有しているのは日本、ロシア、スウェーデンの3国)を発動して「待った」をかけている。今、カードは日本に預けられており、早々にも日本として独自の提案を行う予定でいる。しかしながら、日本の連珠界と世界の連珠界をうまくつなぐ方法があるのかどうか悩んでいるのが現状である。このままだと、日本はいつの日か「発祥国」としてしか見なされなくなってしまうような気がしてならない。まさに正念場を迎えたと言ってもよいだろう。最近、諸外国の選手とEメールを通じて会話することが多くなったが、日本はまだ尊敬の念で見られており、日本が今後の連珠界をどう導いていくかを示していけば、まだイニシアチブを取る事が可能であるとも感じている。いずれにしろ、日本の動向が注目されているのは間違いない。
(2008.02.15)
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